WORK
人間とAIの心地よいコミュニケーションに関する実験
OVERVIEW
BASSDRUMがスポンサーを務めるKBS京都のラジオ番組「祇園pickupあっぷ!」から始まった、AIと人間のコミュニケーションに関する実験的プロジェクト。2つのコンテンツを通じて、「ラジオ×テクノロジー」の可能性を探りました。
ひとつは、AIと人間が共同で企画・執筆・制作を行ったラジオドラマ「祇園ピックアップ物語」。ChatGPTやClaudeなど複数の生成AIが物語の構成やセリフを提案し、人間が対話を通じて内容を調整。最終的には音声生成AIによって台詞が読み上げられ、ジャズミュージシャン志望の17歳の青年、朝倉翔太を主人公とした全20話が放送されました。
二つめは、2024年7月に開催されたBASSDRUMの初の展示会「SEEDS ー未公開プロトタイプ展」の会期中に実施された自律的なラジオ配信実験「AI放送局」。ディレクターAIとパーソナリティAIが役割を分担し、カメラを通じて捉えた周囲の情報をもとにトークテーマを生成。ロボットアームや音声生成AIなどを組み合わせ、AIだけで放送を進行する、“人間不在”のラジオ番組です。
RESPONSIBILITIES
本プロジェクトにおいて、BASSDRUMは企画立案から技術選定、実装、運用までを担当。「ラジオ×テクノロジー」というテーマを番組内で具体化しました。焦点を当てたのは、急速に進化するAIという技術と、人間の表現や感性がどのように交わり得るか、その“向き合い方”と“共創のあり方”の探求です。単なるAI活用にとどまらず、AIを対話の相手や制作チームの一員として捉えることで、技術と人との間に生まれるコミュニケーションの輪郭を浮かび上がらせる試みを、2つのコンテンツを通じて実施しました。
「祇園ピックアップ物語」では、複数のAIを用いて物語のアイデアを引き出し、それを人間同士の対話の中でプロンプトに変換しながら、物語の構築を進めました。AIを囲んだ脚本会議の場では多様な発想が生まれ、それが物語づくりの原動力となりました。さらに、AIで設計した主人公へのインタビューを通して物語の展開を引き出し、それをベースに脚本を構成。語り口や性格に一貫性を持たせるプロンプト設計も行いました。
「AI放送局」では、AIを「ディレクター」と「パーソナリティ」の2つの役割に分担し、人間の指示なしで放送を続けるシステムを構築しました。ディレクターAIはカメラで取得した周囲の状況からトークテーマを生成し、ロボットアームによる物理的なタイピングでパーソナリティAIに伝達。受け取ったテーマをもとに、パーソナリティAIが台本を作成し、マイクに向かって発話することで、AI同士がプロンプトを自律的に生成し続ける「人間不在」の放送を実現しています。この仕組みの実装にあたっては、さまざまなシステムやツールを組み合わせ、人間の操作環境をそのままAIで再現。“見る・考える・入力する・話す”という一連のふるまいをAIが自律的に担えるよう設計しました。
また、これらのコンテンツは週一のラジオ番組をベースとしていたことから、定期的なアウトプットを前提としたR&D体制を構築。このプロセスそのものが、テクニカルディレクションのスキルを磨く場となりました。
Our Team
- Planning / Production / Tech Direction: BASSDRUM
- ◼️ 祇園ピックアップ物語:
- Producer: 北原 妙子
- Tech Directors: 小松 真朗 / 真辺 浩二
- Tech Visonary: 毛原 大樹
- Project Manager: 福井 彩加
- Screenwriters: ChatGPT(AI) / Claude(AI) / Gemini(AI)
- Voice Generators: ElevenLabs(AI) / VALL-E(AI) / CoeFont(AI)
- Song Writer: Suno(AI)
- ◼️ AI放送局:
- Producer: 北原 妙子
- Tech Director: 公文 悠人
- Programmer: リム フイニー
- Researcher: 真辺 浩二
- Tech Visonary: 毛原 大樹
- Project Manager: 福井 彩加
- Radio Host: ChatGPT(AI)
- Host's Voice: ElevenLabs(AI)
- Director: ChatGPT(AI)
- Director's Eye: Meeting Owl (Webcam)
- Director's Hand: Rotrics DexArm Maker (Robot arm)