WORK


YSN ゆっくり・しっかり・のこす「着物を考えるための調べもの」

Installations

OVERVIEW

300年以上続く着物のメーカー問屋の矢代仁が、創業350周年に向けて「いま考えるべきテーマを、自由な視点でときほぐす」ために始動したプロジェクト「YSN:ゆっくりしっかりのこす」。その初回として「着物を考えるための調べもの展」に展示された三つのコンテンツ。

将軍の肌着に起源をもつとされる「御召(おめし)」の生地特有の風合いである"シボ感"(生地の凹凸)を、現代の冷感インナーなどと比較しながら、3Dプリントや空間再現ディスプレイを通して再現しました。

RESPONSIBILITIES

展示コンテンツの企画から開発・実装までをテクニカルディレクターとして担当しました。

はじめに、クライアントのものづくりに対するこだわりについて、現代のテクノロジーを用いてどのように新たな視点から表現できるかを模索しました。そのなかで、矢代仁の代名詞ともいえる織物「御召」に着目し、職人の経験と感覚で生みだされる複雑な布の構造を高精細な3Dデータとして捉え、新たな展示方法を考案しました。まず、用途に適した産業用CTスキャナと産業用3Dスキャナを選定し、データ取得を行ったのち、撮影したデータやディスカッション内容をもとに、三種のコンテンツを企画・開発しました。

ひとつ目は、今回のリサーチプロセスを可視化したコンテンツです。デジタル上のカンバスに自由にテキストや画像を配置。それらを関係づけることができるツールを使い、企画会議の段階から展示の具体化に至るまでのプロセスを可視化しました。それにより、鑑賞者はタッチパネルを使って自由に情報を探索し、プロジェクトの全体像を学ぶことができます。

二つ目は「御召」の3Dデータを拡大し、高解像度の3Dプリンタで出力したレジンのタイルの展示です。比較対象となる別の布を並べることで、見た目ではわかりづらい生地の触感の違いを鑑賞者が直接手で触れて、新たな角度で体感できるようにしています。

三つ目は、生地の内部を3Dで体験できるコンテンツです。生地の断面をどのように見せるかを検討した結果、SONYから発表されたばかりの空間再現ディスプレイを使用し、生地のCTスキャンデータを裸眼立体視できる形で表現しました。鑑賞者はコントローラーを使い、さまざまな角度から「御召」の構造を観察することで、強くねじられた糸の様子や職人の技術によって生まれる生地の清涼感の秘密を3Dメガネ等を使わずに見ることができます。

THE CLIENT AND OUR TEAM

  • Client: 矢代仁
  • Tech Directors: 池田 航成 / 小川 恭平 / 森岡 東洋志
  • Tech Support / Engineers: 伊藤 潤 / 真辺 浩二
  • Support: 泉田 隆介 / 毛原 大樹
  • Assistants: 安中 勇貴 / リム フイニー
  • 協力: ニューリー株式会社 / 株式会社JMC / 株式会社KIZAI
©BASSDRUM inc.
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