WORK


OVERVIEW

“海苔”を媒体に人と自然、テクノロジーを繋ぐライブインスタレーション

ソニー・ミュージックソリューションズ内のクリエイティブチーム「Creative X-lab」(以下、CXL)が主催する交流パーティー「CXL BASH!」にて公開された、人と環境、テクノロジーの境界を溶かすライブインスタレーション。

本作では、自然環境や人の手、技術の絶妙なバランスによって育つ“海苔”を「調和のシンボル」として着目。AIによって制作の境界が曖昧になりつつある今、「人間中心のデザイン」のその先にある「多元的なデザイン」への問いとして、人や自然、AIが関わり合いながらアウトプットが変化していく新たな表現のあり方を提示しています。

フロアでは、会場内の人数などの環境データをセンサーで検知し、リアルタイムに音楽や映像へ変換。その中心に”海苔のレコード”を配置し、表面のテクスチャを読み取って音や映像の要素として抽出しました。

これらの要素をソロアーティストの辻井くぬえ氏がミキシングし、その場限りの音響体験を創出。会場では海苔を使ったおにぎりも振る舞われ、テクノロジー、音楽、そして食が自然に交差するインタラクティブな空間が生み出されました。

REDPONSIBILITIES

共創的なプロトタイピングとデータ連携による演出基盤の構築

BASSDRUMは本プロジェクトにおいてテクニカルディレクションを担当。CXLチームとの密接な協働のもと、演出の中核を担うシステム設計と実装を主導するとともに、プロトタイピングから制作・検証に至るプロセス全般を伴走・サポートしました。

本作のキー要素となる「海苔のレコード」から音と映像の元となるデータを抽出するため、ターンテーブルとカメラを連携させた専用のスキャンシステムを開発。回転する海苔の表面からリアルタイムに色データを抽出するプログラムを構築しました。回転速度や照射光を制御し、レコードの針のように最外周から4時間かけて中心へと向かう連続走査機構を実装。抽出した色データは、アーティストのドラムマシンを直接トリガーする信号として受け渡すとともに、映像演出の要素としても活用されています。

あわせて、会場内の人数トラッキングカメラや観客の呼吸に伴うCO2濃度センサーなど、空間の環境データを集約する基盤を構築。一元化したデータを演出用の映像システム(2系統)と音響制作環境の双方へリアルタイムに同時送信するデータフローを整理・構築しました。また開発プロセス全体においても、受発注の枠組みにとらわれず、CXLチームと対等に強みを持ち寄りながら企画検討からプロトタイプの検証、制作の役割分担に至るまで共に手を動かして並走。テクニカルディレクターの立場からプロジェクトを強固に支えました。

こうした柔軟なプロトタイピングやインタラクティブな表現の実現には、BASSDRUMのメンバーが個人で参加する自主実験チーム「SPEKTRA」での活動を通して培ってきた、表現手法や検証の知見が存分に活かされています。単に技術を提供するだけでなく、互いの領域を掛け合わせ、ともに試行錯誤を重ねながら作品をかたちにしていく、共創的なテクニカルディレクションの実践となりました。


THE CLIENT AND OUR TEAM

  • Client: ソニー・ミュージックソリューションズ
  • Tech Directors: 池田 航成 / 森岡 東洋志
©BASSDRUM inc.